2014年6月県議会
高田由一 一般質問 概要記録
議会中継動画
2014年6月20日
1.集団的自衛権をめぐる議論について
2.自衛隊の防災訓練について
(1)事前説明と「地震対処計画」
(2)米軍ヘリの参加について
(3)県民への周知
3.南海トラフ地震への備え
(1)物資の備蓄状況
(2)県防災ヘリの充実
4.農政改革
5.カツオの不漁問題
6.通学路の安全対策
7.高速道路建設にともなう渋滞
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1.集団的自衛権をめぐる議論について
《発言》高田由一 県議
質問に入る前に、いまおこなわれている集団的自衛権をめぐる議論について発言します。安倍内閣は歴代の自民党政権がとってきた半世紀以上にわたる国会や国民への約束をおおもとからひっくり返し、日本を海外で戦争できる国へとつくりかえようとしています。日本への直接の武力攻撃がなくても国民の権利が根底から覆されるおそれがあれば、海外での武力行使ができるようにするという内容です。「おそれ」さえあれば武力行使できるとなれば本当に恐ろしいことになります。
それを国会にも説明せず、国民的な議論もないまま与党の密室協議だけで強行しようとする安倍内閣のやり方に強く抗議をしたいと思います。
2.自衛隊の防災訓練について
《質問》高田由一 県議
それでは質問に入ります。
最初に自衛隊の防災訓練についてうかがいます。
この6月1日~11日にかけて「南海レスキュー26」と銘打った陸上自衛隊中部方面隊の防災訓練が愛知、三重、和歌山、徳島、高知などで実施されたようです。和歌山県内では6月2日から6日にかけて実施されました。この南海レスキューは昨年もありましたが、自衛隊の発表資料によりますと、今年の訓練は参加人数6300名を超える規模で計画されました。期間も11日間と長期です。
この訓練について私たち共産党県議団が知ったのは5月28日のことでした。あちこち聞いても断片的な情報しか集まらず、危機管理課が持っていた資料だけしか情報は得られませんでした。県民はもとより県内のマスコミでも知らないところもあるという状態でした。そこで共産党県議団として5月30日に知事あての申し入れを行い、県は訓練内容の全容を把握し、積極的に住民に公表すること、および、安全性の確保や生活環境への影響について、県としてチェックし問題点があれば自衛隊に改善の要望をおこなうことの2点を求めました。
しかし結局のところ、住民に訓練の詳細が知らされないままの実施となりました。6月4日に南紀白浜空港で行われた訓練には自衛隊、米軍あわせて5機のヘリコプターにくわえて輸送機などが定期便の合間をぬって訓練を行いました。なかでも米軍の2機のヘリは地上におりてからもずっとエンジンを回しっぱなしで騒音がひどく付近住民からは苦情がでました。たいへん残念に思います。
私は自衛隊の防災訓練そのものに反対するものではありません。自衛隊は実態として軍隊であり憲法の規定と矛盾するという認識ですが、災害時の活動内容は救出、医療、物資の輸送など多様な機能を発揮できます。本来なら災害対応に特化した専門機関を国が整備するべきだと考えますが、現状においては国民の生命、財産を守るための必要な存在であり、災害時にしっかり活躍してもらうことは大事なことだと思います。
ただ申し入れでも述べたのですが、災害時に災害対策本部を指揮するのは知事であり市町村長です。自衛隊に応援を要請する知事が災害対策本部の責任者として自衛隊にどんな活動を要請するのかという主体性を持つこと、そして、きちんと自衛隊の行動を統括すること、この2点が大切ではないでしょうか。
(1)事前説明と「地震対処計画」
そこで1点目の質問です。今回の「南海レスキュー26」という防災訓練について自衛隊から事前にどのような説明がありましたか。また、この訓練は「自衛隊南海トラフ地震対処計画」に基づくものですが、その概要はみなさんにお配りしてある※資料1にありますように概要は公開されています。県はその地震対処計画なるものの詳しい内容を知っていますか。私は、防衛省に対し、計画の説明と計画そのものの提供を求めるべきだと思いますがいかがでしょうか。答弁をお願いします。
《答弁》 危機管理監
「南海レスキュー26」については、自衛隊から事前に、白浜空港での物資輸送訓練、県庁南館を使用した前進指揮所訓練等、訓練概要の説明を受けております。
また、訓練の基礎となる自衛隊の南海トラフ地震対処計画については、5月上旬に計画の説明を受けており、普段から訓練等を通じて自衛隊と連携する中で、必要な内容を把握しております。
《再質問》高田由一 県議
自衛隊のつくった南海トラフ地震対処計画について計画の説明はうけたとのことで必要な内容を把握しているというお答えでした。私がうかがいたいのは、計画そのものをなぜ手に入れてないのかということです。この計画にこだわるのはこの南海トラフ対処計画なるものが、自衛隊の防災派遣計画をつくるおおもとになるからなんです。自衛隊は防災業務の実施にあたってはこんなに書いています。「平素から関係機関特に地方公共団体と密接に連絡および協力し」と書いてある。密接に連絡および協力しているはずの県がなぜ自衛隊の作った計画を持ってないのか。防衛省や自衛隊にくださいと言ったんですか。
《再答弁》 危機管理監
対処計画につきましては、和歌山県にとって必要な部分について、自衛隊から説明を受けております。ただ、計画全体は非常に幅の広い、例えば中部・四国・中国という風にまたがって計画が立てられておりますので、そういう部分についての提供は求めておりません。
《再々質問》高田由一 県議
私は県の担当課を通じて防衛省や自衛隊に計画を見せてくれと頼みましたが、落ち着いたところは情報公開してくださいでした。国会を通じてしました。昨日、やっと手元に届きました。あちこち黒塗りの部分はありますが、ほとんどの内容を見ることができます。情報公開をした私が持っていて、密接に協力しているはずの県当局が持っていない。おかしいではないですか。
《再々答弁》 危機管理監
自衛隊と県との連携は、訓練内容等について、常に情報の把握をしております。県として知っておくべき事、知らなければいけない事については、自衛隊からの情報の提供をうけておりますので、今のところ、その計画を防衛省に求めるということは考えておりません。
《要望》高田由一 県議
やはり災害時に自衛隊に的確な活動を要請するためにも、計画の把握は重要だと思いますのでご検討ください。
(2)米軍ヘリの参加について
《質問》高田由一 県議
続いて2つ目の質問です。
今回の訓練には米軍ヘリも参加をしました。地域の防災を最初から他国の軍隊に依拠することは憲法の規定からも、また、防災の在り方としても問題だと思います。高知県で昨年、今年と米軍オスプレイが参加する予定だった日米共同防災演習では、米軍は自衛隊の高知駐屯地を使用することになっていました。あくまで自衛隊施設内での訓練です。しかし先日6月4日に行われた南紀白浜空港での訓練では米軍機も空港を使用しました。民間空港を防災訓練という名で米軍が使用した例はこれまでありましたか。答弁をお願いします。
また、あわせて米軍ヘリの参加について事前にどのような説明を受けていたのか、米軍が日本国内の様々な施設を一時的に使用するさいの日米安保条約上の取り決めである地位協定による一時使用の手続きはあったのでしょうか。答弁をお願いします。
《答弁》 危機管理監
米軍機が給油等のために民間機が使用する空港に離発着したことはありますが、防災訓練で米軍機が使用するのは初めてであると防衛省に確認しております。
米軍ヘリの訓練参加については、自衛隊航空機の活動の一部として参加することや米軍ヘリの行動内容についても説明を受けております。
また、米軍ヘリの空港使用については、自衛隊の計画で参加しているので日米地位協定を適用するものではなく、自衛隊航空機の通常の手続きに米軍ヘリを含ませた内容で申請したと防衛省に確認をしております。
《要望》高田由一 県議
答弁がありましたが、米軍機が防災訓練として民間機が使用する空港を使用したのは初めてという重要な答弁でした。そしてそれも日米地位協定に基づく正規の手続きではなくて防災訓練をする自衛隊機のなかに含ませて空港使用許可を申請したと。
こういう解釈が可能なら、防災訓練と名をつければ自衛隊と米軍が日本中どこでもセットで訓練できるようになるではありませんか。この白浜方式が全国に広がらないか心配です。
さきほどもいいましたが、最初から米軍を計画に組み込んだ対処計画では実際の防災に役立つのかという疑問があります。さきほどしめした南海トラフ地震対処計画のなかで黒塗りのところが一部あるといいましたが、これは米軍に関するところです。そこの端っこにこんなことが書いてあります。「米側の要員等はトモダチ作戦の実績等を基準にした日側の要望であり、必ずしも表中の要員が派出可能となるわけではない」。なかなか正直に書いておられると思いました。
私は東日本の震災でのトモダチ作戦には感謝していますが、緊急のときに米軍は何を最優先するかというと、※資料2の新聞記事を見てください。6月17日付けのしんぶん「赤旗」ですが、集団的自衛権の議論のなかででてきたものですが、米軍がまず優先して助けるのはアメリカの国民だと。これはしごく当然だし、東日本の震災のときも、アメリカは原発から半径50マイル以内のアメリカ人に避難勧告をだし、日本全国の米軍基地から少なくとも7800人以上が飛行機で日本から退避しました。ですからこういうことを考えると、最初から米軍の救援ありきでは発災後72時間が人命救助のボーダーラインをいわれるなかで、防災計画としていかがなものかということを申し上げておきます。
(3)県民への周知
《質問》高田由一 県議
この項目の最後の質問として、県民への周知の問題です。今回の訓練は県民に十分周知されたとはとても言えません。どういう見解をお持ちでしょうか。また、今後、自衛隊の訓練が県内である場合、県が内容を把握するとともに、その情報がきちんと県民に周知されるようするべきだと思いますがいかがでしょうか。答弁をお願いします。
《答弁》 危機管理監
自衛隊が実施する防災訓練は、基本的に自衛隊に説明責任があると思われます。統合幕僚監部と中部方面総監部から5月中旬にそれぞれ記者発表が行われており、また、訓練が行われる関係市町には、自衛隊から訓練についての説明がなされたと聞いております。
県は自衛隊としっかり連携し、訓練内容を常に把握のうえ情報共有をしております。今後、その情報については、県からも必要に応じて、ホームページや資料提供などを通じて県民に周知してまいりたいと考えております。
3.南海トラフ地震への備え
《質問》高田由一 県議
つぎに南海トラフ地震への備えということで、まず物資の備蓄状況についてうかがいます。内閣府の南海トラフ巨大地震対策の最終報告が昨年5月に公表されました。そのなかで食糧や水、燃料などの備蓄という点では、今回、家庭での1週間分以上の備蓄が推奨されています。想定では和歌山県では水道の92%、都市ガスの84%、電気は90%、電話は88%が被災直後には途絶える予測になっています。また、避難者は1週間後で46万人、県民の2人に一人が避難者となります。
これまで県では、住宅の耐震化や避難の仕組みについて事業を推進してきており、成果も出始めていると思います。しかし、この備蓄という点はまだまだ遅れているのではと思います。ライフラインが途絶えてもしばらくは生活が維持できる体制が必要です。
東日本大震災のときには道路が海岸部までくしの歯にルートを確保することができ、これが応急対応に役立ちました。しかし南海トラフは津波の怖さとともに震度が大きいことも特徴です。いま国体へむけて高速道路整備など進めていてこれまでより防災力がアップすることは間違いないと思いますが、これが果たして災害時に十分機能するか、応急修理して利用するにしても時間がどれくらいかかるのか、など心配な点が多いのも現実です。
2004年の新潟県中越地震では、関越自動車道で大規模崩壊など被害が発生し、発災後19時間で緊急車両は徐行運転できるようになったものの期待される物資の輸送などに使えるようになったのは、10日以上たってからでした。こうした経験から考えるなら、食糧や水、燃料や医薬品など生活必需品については地域的な供給体制をとっていくということが大切になってくると思います。
しかし、現状は過疎地でのガソリンスタンドの減少、日用品や食料を販売する商店の閉鎖などが続いており、当面は備蓄をしっかりすることが求められています。
(1)物資の備蓄状況
そこで質問ですが、家庭での備蓄を今後どのように進めていくか。また、県としての備蓄はどうなっているか答弁をお願いします。
あわせて、病院や福祉施設の入所者、旅館など観光客への対応はどうなっているでしょうか、さらに今後どう推進していくおつもりなのか。担当部長からそれぞれ答弁をお願いします。
《答弁》 危機管理監
家庭での備蓄については、従前、3日分の備蓄を呼びかけていましたが、昨年5月28日に公表された中央防災会議のワーキンググループによる南海トラフ巨大地震対策の最終報告で1週間以上確保することが示されました。
これを受けまして、県では、「出張!県政おはなし講座」や「出張!減災教室」などの各種啓発事業において、各家庭で普段から消費している食料の蓄えを増やし、消費しながら備蓄する「ところてん方式」での備蓄も呼びかけております。
今後も引き続き、啓発活動に努めてまいります。
《答弁》 福祉保健部長
現在、県では、発災直後3日間の食糧、飲料水などを避難生活者のために、県・市町村・県民の3者での分担備蓄をすることとしています。
そのうち県分は、約88万食で、うち30万食は、在庫備蓄として各振興局、特に災害時の搬送等を考慮して西牟婁・東牟婁振興局へ重点的に備蓄を進めています。
残り58万食は、流通備蓄として民間企業との間で災害時の物資調達協定の締結を進めているところです。
なお、平成26年3月末時点での在庫備蓄は14万5千食分となっています。
次に、病院・福祉施設についてですが、災害拠点病院では、災害時に多数の傷病者を受け入れる必要があることから、食糧、医薬品については、おおむね3日分の備蓄を行っています。
また、特別養護老人ホームなどの福祉施設につきましても、おおむね3日分の食糧備蓄を行っているところです。
今後とも、大規模な災害時に適切に対応できるよう計画的な備蓄に努めるとともに、関係施設に対して、引き続き備蓄物資の確保を指導してまいります。
《答弁》 商工観光労働部長
旅館等は、宿泊客の安全確保に努める必要があり、大規模災害時には、できるだけ安全かつ速やかに帰宅していただくよう、市町村との連携のもと手配を行いますが、交通事情等で直ぐに帰宅できず、しばらく旅館等で待機が必要となる場合も想定されます。
一般的に旅館等では、通常営業時において、生鮮食材を除き、数日分の食材、飲料水等を貯蔵しているため、市町村から食料等の供給、あるいは宿泊客が避難所へ避難するまでの間は、在庫食材、飲料水等を宿泊客に提供していただくよう、市町村を通じて働きかけてまいります。
《要望》高田由一 県議
病院や福祉施設はある程度の備えが完了しているようです。旅館などはこれからです。報道によると那智勝浦町のホテル浦島では、ピーク時の一日2000人宿泊するといいます。このお客さんが約10日間生活できる食料が備蓄されているといいます。身近にこうした先進例もあるのですからぜひ参考に取り組みを進められたいと思います。
また、法的に備蓄を指導する根拠が不十分ではないかという議論もあります。これをきちんと裏付けするような国への要望もしていただきたいと思います。
(2)県防災ヘリの充実
《質問》高田由一 県議
さきほどふれた南海トラフ巨大地震対策の最終報告でも孤立集落対策にヘリコプターの活用が有効と述べています。そこで和歌山県の防災ヘリ「きしゅう」の充実について質問します。防災ヘリ「きしゅう」は導入されたのが平成7年、その後、20年近く、大きな活躍をしてきました。
平成25年度の実績でいうと緊急運航が87回、そのうち救急が37回、救助が27回と圧倒的に人命救助が占めています。とくに運航状況のレポートを拝見してわかるのは、山林労働者が現場で事故にあい救出にむかう例や奥地での交通事故への対応など、山間地が多い和歌山県ならではの出動状況があるということです。
近年では平成19年度から救命率の向上を目的として南和歌山病院のドクターを同乗させて現場にむかう取組が開始されました。現場について必要なときには、ドクターと隊員を同時に降下させ救命にあたるそうで、ドクター自身も日頃からワイヤーロープでの降下訓練を行っていると聞きすばらしい取り組みだと思いました。
また防災ヘリは中型ヘリという分類です。ドクターヘリよりも大きく、安定性があるので少々風があっても活動できるという特徴があります。さらにドクターヘリは日没までに県立医大に帰らなければなりませんが、防災ヘリは日没までに現場を出発すればいいということでこのことも有利な点です。
なお、県警のヘリ「きのくに」やドクターヘリの活躍についても紹介したいところですが、今回はテーマが防災ということなので、またの機会に取り上げたいと思いますのでご容赦ください。
このように活躍している防災ヘリですが、最近、技術の進歩でいろいろな資機材が開発、実用化されており、その導入を考えるときではないかと感じています。
たとえば高知県ではいままで1台あった防災ヘリに加えてこの4月1日からもう一台、南海トラフ地震への対応に必要ということで消防庁からヘリが無償貸与されました。このヘリは最新の衛生通信システムがのっていて、ヘリからの映像情報を直接、人工衛星へ送信するため、地上アンテナが不要であり、地上施設が損壊した場合でも全国へ映像伝送が可能となっています。
また、動態管理システムといってヘリコプターの位置情報を衛星通信を利用して地上に送り、ヘリがどこにいるのかがリアルタイムにパソコン上に表示されるシステムがあります。この動態管理システムは広域災害にはたいへん有効で、各地からきた緊急消防援助隊が地理に不案内でも、まるでカーナビのように目的地まで誘導することが可能になることや任務を本部から的確に指示することができるようになるそうです。今このシステムは、全国76機の防災ヘリのうち41機に搭載されているということです。宇宙航空研究機構JAXAが開発中のDネットというシステムもあります。これは先日、テレビ番組でも取り上げられていましたが、広域災害のときなど消防、海上保安庁、警察、自衛隊のヘリが一元管理できるもので、実用化も近いようです。
いま紹介したことからわかるように、ヘリの性能そのものも大切ですが、いかに災害時にうまく運用できるかそうしたことに焦点があたっています。
先日、NHKのニュースでも特集がありましたが、東日本大震災のときも、全国各地から防災ヘリが駆け付けたのですが、通信手段が断絶して要救助者の情報が入らないなか、たとえば岩手県花巻空港ではせっかく応援にきたものの10台をこえるヘリが何時間も待機したままだったそうです。いくら機材がそろっても情報がないなかでは有効に活用できないのです。
そこでうかがいます。南海トラフ地震を想定して、県防災ヘリの機能を今後どのように充実させていくのか答弁をお願いします。
《答弁》 危機管理監
県防災ヘリ「きしゅう」は、吊り上げによる要救助者の救助や、状況に応じて、医師搭乗のもと、救助・救急活動を行うことが可能であり、さらには空中消火活動等、防災ヘリコプターとして、日頃の活動を行うための十分な機能を有しております。
また、上空から撮影した映像をリアルタイムで県庁等に電送する「ヘリコプターテレビ電送システム」を搭載しており、被災状況等の情報収集活動が可能であるとともに、被災地への救援物資の搬送等、応急対策活動に重要な役割を果たすものです。
機体自体は、適切に検査を受けており、今後の使用にも十分耐えられます。
一方で、技術的な向上は日進月歩であり、常に最新の技術を盛り込んだ機器を装備しておくことは理想的ではありますが、現実的には難しいと考えております。
4.農政改革
《質問》高田由一 県議
つぎに内閣府に設置された規制改革会議での農政改革の議論についてうかがいます。この規制改革会議の第2次答申が6月13日に公表されました。
読みますと今回の農政改革なるものは、とにかくこれまで日本農業の発展に寄与してきた各制度を解体するに等しい内容になっています。
まず、農業委員会の問題です。農業委員の公選制や推薦制を廃止し、数は半分にして、市町村長の任命制にするといいます。連綿と受け継がれてきた農地がそのときどきの首長の考えでどうにでもなる、こういうことになっていきはしないでしょうか。また、全国農業会議所や都道府県農業会議も見直し、新たな制度に移行すると述べています。その理由として新たな事業内容をするためと例示がありますが、すでに農業会議などが行っているものばかりで、なぜ新しい制度が必要なのかわかりません。全国の農業委員会の系統組織である全国農業会議所が発行する全国農業新聞でも改革案について、「組織の根底覆す」といつになく強い調子で批判しているのも当然であります。
つぎに、農業生産法人の見直しです。これまで業務執行役員の過半が農業に従事する必要があった役員要件を「重要な使用人のうち一人以上が農作業に従事」すればよいと大幅に緩和することを提言しています。また、農地を所有できる法人の要件緩和なども検討するとし、農地を営利企業が所有できるようになる道を開くものになっています。
また、農協の見直しについては先日、議会で可決された意見書にもあるように中央会制度の廃止といっていたものが、自律的に新たな制度に移行せよと文言が変わりました。しかし、「自主的に変われ」ということ自体、自主的でなく強制的だと言っておかねばなりません。本質は変わっていません。何か農協中央会や全農が単協に不当な規制をしいているかのような描き方をしていますが、各単協からこの制度をやめてくれという声はいっさいでていないのであります。
以上のようなことから、この規制改革会議の方向は到底うけいれられません。
県行政としてこれらの問題にどういう見解をもっておられるのか、農林水産部長の答弁を求めます。
《答弁》 農林水産部長
農業委員会についてですが、農業委員会が、農家の声を反映し、しっかりと農地を守れる仕組みであることが絶対条件であると考えます。
答申では、「事前に地域からの推薦・公募を行える」「過半数は認定農業者から選任する」「議会の同意が必要」などの要件のもとに、市町村長が農業委員を選任することになっていますが、本当に地域の農業に精通した人が選任されるかどうか不明な部分もあり、農地の虫食い的な宅地化が進まないか、という危惧があります。
また、都道府県農業会議は、現在、「意見の公表、行政庁への建議や答申」「情報提供、調査研究」「農業委員等の講習及び研修、助言、協力」などの業務を行っていますが、こうした機能・役割が継承されるのか、という心配もあります。
県としましては、いずれにしても、農業委員会等の組織は農業委員会法に定める設置目的の「農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄与する」ことが第一と考えます。
次に、農業生産法人についてですが、本県では、県内農業の維持発展のため、農業後継者の確保はもとより、非農家からの新規参入や、多様な担い手の一つとして企業の農業参入も推進しているところですが、耕作放棄地は増加傾向にあり、十分な効果を上げるには至っておりません。
答申では、企業の農業参入の障壁を低くするため、農地を保有できる農業生産法人の役員要件と構成員要件、出資比率のことですけれども、構成員要件の緩和が打ち出されていますが、深刻な危機に直面している我が国の農業を下支えし、農業をこれからの成長産業として発展させるという観点においては、方向としては基本的には好ましいものと考えます。
全国農業協同組合中央会が本年4月に策定した改革のプランにおいて、JA出資型法人による直接的な営農サポートの展開を掲げているところであり、特に農協自身が、自ら農業生産法人をつくり、農業を営むことを期待するものであります。
なお、企業が農地を所有することについては、経営不振などで農地を荒らしたまま撤退するような事態を防止するための仕組みが必要と考えます。
最後に、農業協同組合の見直しについて、本県では、果樹農業を中心とした商品作物の生産が多く、これまでも県と県内JAグループが一体となって、地域の実情を踏まえた生産振興や販売促進に取り組んできたところであり、JAグループが地域農業の振興に果たしてきた役割は非常に大きいものがございます。
答申には、地域の農協の自主的な活動を制約している全国中央会等を弱くすれば、農協が活性化するという発想があるように感じますが、仮にそうであるとするならば、必ずしも実態に即した現状認識と言い難いところがあります。
県としましては、農協改革は、組織を変えることが目的ではなく、農協が、農業の発展・営農者の幸福実現にいかに寄与できるかという観点から議論が行われるべきものと考えており、当面は、改革議論の推移を見守ってまいりたいと考えております。
5.カツオの不漁問題
《要望》高田由一 県議
1日目の谷議員の質問とかぶりますのでカツオの不漁問題については要望といたします。地元のすさみ町でのおいしく手ごろな値段のケンケン鰹の不漁はご承知のとおりであります。今年3月の水揚げは平年比の40分の1以下(2.4%)です。
すさみの漁業関係者の話では、将来の展望が見えないなか若い人が意欲がなくなっているといいます。年に10人近く引退する漁師がいるから、10年たてば半分になると嘆いておられました。すさみ町では以前から「景気は海から」と言われ、それほど漁業というのは大きなウエイトを占めているのです。この不漁がもし連続で続くようなことがあればと考えるだけで恐ろしくなってきます。
不漁にくわえて燃油代も高騰しています。漁師の方はこの16日から税込で1リッター114円になると言っていました。ダブルパンチです。
不漁の原因についてはいろいろ説がありますが、全体としては資源を維持されているという報告があるものの、フィリピン東方の黒潮源流域という海域ではカツオ資源が明確に減少していることが研究発表されています。それが主な原因ならやはり、まき網によるとりすぎを規制することが求められていると思います。
私は中西部の太平洋におけるカツオを対象としたまき網の漁獲規制強化とカツオの生態研究、資源量調査など必要な手立てを国や各県とも連携をとって和歌山県が取り組むよう要望しておきます。
6.通学路の安全対策
《質問》高田由一 県議
つぎに通学路の安全対策についてうかがいます。平成24年の京都府亀岡市の事故をうけて、県は緊急に通学路の安全点検を実施しました。危険個所596か所のうち、対策済みや対策予定が573か所と聞いております。残り23か所に減らしてきました。
いま紀南地方では近畿自動車道紀勢線の工事が急ピッチですすんでいます。地域によっては従来からの交通の流れや道路状況などが大きく変わっています。また、道路交通法が改正され路側帯のある道路での自転車の右側通行が昨年12月から禁止になりました。この影響で児童・生徒の安全と矛盾する事態も起こっています。※資料3の写真をご覧ください。これは上富田町の南紀の台という住宅地の町道なんですが、小中学生の通学路になっていて道路交通法改正以前はこちら側のガケがあぶないので自転車も右側を通行していたのですが、いまは左側通行ということで落石が多い左側をやむなく通行しているようです。早くガケを直せといわれそうですが、役場も努力いただいておりますが、うまくいってないのが現状です。これは安全性という点でどうみても不合理だと思います。
そこで教育長にうかがいます。現時点での新たな通学路の安全調査をしてほしいと思いますがいかがでしょうか。また、その際、道交法改正によって自転車通学にどのような影響がでているかも把握してほしいと思います。答弁をお願いします。
《答弁》 教育長
平成24年度に、京都府亀岡市で小学生等が犠牲となった大変痛ましい事故を受けまして、直ちに学校、警察及び道路管理者等による小学校の「通学路における緊急合同点検」を実施し、危険箇所を解消するための対策を進めてきたところでございます。
昨年12月の改正道路交通法の施行や近年の道路状況の変化を踏まえ、今年度、新たな危険箇所を把握するため、関係機関と連携・協力し、小学校の通学路だけでなく、自転車通学を含む中学校の通学路の状況調査を実施し、自転車通学への影響等を把握してまいります。
今後も、児童・生徒のかけがえのない命を守るため、交通安全教育の徹底を図るとともに、関係機関と一層連携を深め、通学路の安全確保に努めてまいります。
7.高速道路建設にともなう渋滞
《質問》高田由一 県議
最後の質問です。
さきほどの質問でもふれましたが、いま高速道路建設が進んできて10トンのダンプが国道42号を中心に残土処分場まで列をなしています。普段、渋滞の起こらないところが突然渋滞になったりして、多少、時間が余計にかかるぐらいならいいのですが、普段は5分もかからないたった1キロメートルくらいの区間が、20分くらいかかったり、せまい踏切があって危険が増したりする場所がでてきました。私がこの質問を準備するなかで地元の役場や工事主体の国土交通省紀南河川国道事務所、そして県警にも実情をお話しして対応を求めてきました。さっそく県警が動いてくださり、国土交通省と協議するなかで先週からダンプの運行コースを一部変えることになり、現時点では見事に渋滞が解消されました。ありがとうございました。
そもそもかなりの量のダンプを走らせることは初めからわかっていて、国土交通省もあらかじめ運搬コースを設定しているのですから県警と十分協議をしていれば、渋滞さわぎにならずに済んだはずです。工事はこれから交通量の増える夏場も続くわけですから、今後は国土交通省と連携して、十分、事前協議などしていただきたいと思います。このことについて警察本部長の答弁をお願いします。
《答弁》 警察本部長
議員ご指摘のとおり、近畿自動車道紀勢線延伸工事に伴い、大型貨物自動車の通行量が増加し、通常では渋滞が起こらない所に、交通渋滞が発生している状況にありました。
県警察といたしましては、早急に建設工事主体である紀南河川国道事務所と協議を行い、大型貨物自動車の運行コースの変更等により、渋滞が解消したところであります。
今後とも引き続き、国土交通省等と十分連携を図りながら、近畿自動車道紀勢線延伸工事の周辺道路における交通の安全と円滑に向け、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。