2014年2月県議会
高田由一
一般質問 概要記録
議会中継動画
2014年3月5日
1.県防災訓練への米軍オスプレイ参加について
2.印刷物の入札制度について
(1)低価格落札の現状
(2)入札制度改善の提案
(3)簡易公開入札制度の改善
・簡易公開入札の件数
・落札の状況
・指名型の随意契約
・少額の契約について
(4)入札制度改革への考え
3.南方熊楠記念館について
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1.県防災訓練への米軍オスプレイ参加について
《質問》高田由一 県議
昨年の12月20日、知事は和歌山県の防災訓練に米軍オスプレイが参加することを歓迎する表明をされました。それに対し、日本共産党県議団はオスプレイの参加撤回を求める申し入れをおこないました。
知事は年末の発表のなかでも、また、今議会一般質問初日の答弁でも、MV-22オスプレイは他に比して安全性の低い航空機とは思っていません、という考えをしめされています。
いっぽうで、全国知事会議では、平成24年7月19日、「MV-22オスプレイの配備及び飛行訓練に関する緊急決議」を発表しました。そのなかでは「政府からは、米側から提供された情報として、事故に関して機体に機械的な不具合や設計上の欠陥はなかったとの説明があったが、これで十分な説明がなされたとは言えず、関係する自治体や住民が懸念している安全性について未だ確認できていない現状においては、受け入れることはできない。」、「沖縄県への配備、全国各地で行われる飛行訓練等については、その具体的内容を明らかにするとともに、関係自治体の意向を十分尊重して対応するよう強く求める。」と述べています。
全国知事会の決議の「安全性について未だ確認ができていない現状」というくだりは、未だに解決していない問題だと考えます。
また、「関係自治体の意向を十分尊重して」というくだりも沖縄の現状を見ればそのようなことは決して言えないと思います。
沖縄県では昨年1月、県内41市町村すべての首長、議会議長、県議会のすべての会派、民間団体などが東京まででむき、安倍総理に対して、オスプレイの配備を直ちに撤回すること、米軍普天間基地を閉鎖、撤去し県内移設を断念することなどを盛り込んだ「建白書」を手渡しています。このことをとっても、オスプレイ配備の問題は、従来のCH-46という米軍のヘリコプターがオスプレイに置き換わるだけと納得している沖縄県民はいないということのあらわれではないでしょうか。
そこで知事にうかがいます。全国知事会の決議にある「安全性について未だ確認ができていない現状」という問題は、すでに解決されているとお考えですか。
《答弁》 仁坂知事
高田議員が、只今オスプレイの参加撤回を申し入れられましたが、実際に大地震が起こった時など、大量の被災者を早く安全な所に輸送したり、救援物資を大量にしかも早く持ってきてもらったりするには、それに代えてどういうやり方にするのか、そういう対案を示さないと、天下の公党と言えないのではないかと思います。
全国知事会では、平成24年7月19日、軍事訓練等を対象にした「MV-22オスプレイの配備及び飛行訓練に関する緊急決議」を発表いたしました。
その後、わが国政府は、米軍に任せるだけではなくて、平成24年のオスプレイの沖縄配備に先立ち、同年4月にモロッコ、6月にフロリダで事故があったことから、航空安全や事故調査の専門家からなる防衛省の分析評価チームを立ち上げ、オスプレイの安全性に係る確認を行っています。この結果、平成24年9月19日、両事故については機体自体に問題があり事故になったとは認められないと評価し公表しております。
また、公表と同日、日米合同委員会において、十分な再発防止策が既にとられていることを確認し、地域住民に十分な配慮がなされ最大限の安全対策がとられていることを両国間で合意しております。
また、私は軍事訓練の飛行と巡航飛行とは、違うだろうと思います。
これらを踏まえ、政府として総合的に検討した結果、オスプレイの安全性が確認されたと判断しているため、県としても政府同様の認識を持っています。
《反対意見》高田由一 県議
知事自身は安全だと確信されているようですが、全国知事会の決議というのは今も生きていて、昨年11月の防衛大臣への要請でも政府の説明が十分とはいえないといっています。沖縄の仲井眞知事も昨年9月に、日本共産党国会議員団と懇談した際、「よく落ちる飛行機で話にならない。安全性の確認を求めてきたが、払拭されないまま持ち込まれた」と批判しているように、安全性の確認はできていないという認識です。
さきほど、昨年のオール沖縄で提出された建白書のことに触れましたが、知事の答弁が正しいなら、沖縄の全市町村長と議長、県議会のすべての会派はオスプレイの安全性について誤解しているということになりはしませんか。
防衛省の資料や米軍の資料をうのみにすれば、海兵隊のほかのヘリコプターや飛行機より安全だと、沖縄のみなさんは誤解していると、こういう理解なんでしょうか。
しかし、現実は政府が安全宣言をだしたのちも、オスプレイのクラスAの事故は続いています。琉球新報の報道によると、昨年の6月にはノースカロライナで、8月にはネバダで事故が起きましたが、いずれもクラスAの事故として報告されているようです。この2件の事故を加えて計算すれば、たぶん事故率はかなり上がるでしょうから、アメリカ海兵隊のなかでももっとも事故率の高い機体のひとつになると思います。
那覇市長の翁長さんは「安保に賛成だからこそ、オスプレイには反対だ」と言っています。アメリカとの友好関係を保ちたいから、沖縄県民に危害をもたらす恐れのあるオスプレイ問題では絶対にゆずらないということでしょう。
今、沖縄では、日米安保に対する立場のちがいをこえてオスプレイの配備を撤回せよという点では、自民党も共産党もまったく一致しているのであります。
そんなときに和歌山県が、防災訓練とはいえオスプレイを受け入れることで、米軍とはトモダチになれるかもしれませんが、同胞である沖縄県民とは逆のことになるのではないでしょうか。いざというときは防災に役立つからといって、オスプレイの存在を容認するのであれば、結局それはいま沖縄にしか配備されていないのですから、沖縄にオスプレイを押し付け続けることになるものです。
沖縄の普天間基地のすぐ近くには、普天間宮という神社があります。ここには熊野権現が祭られています。なぜかというと、かつて熊野那智山を中心にさかえた補陀落渡海信仰で船出をした僧侶が流れ流れて沖縄にたどり着き、そこで熊野信仰を広めたからだと言われています。いにしえからの交流があった和歌山と沖縄が、平和の点でも末永く交流できるようにするためにも、オスプレイ参加の防災訓練には反対ということを申し上げて、この質問を終わります。
2.印刷物の入札制度について
《質問》高田由一 県議
つぎに、県の印刷物の入札についてうかがいます。
印刷関連業界は、大手2社を中心とする上位27社で市場の95%以上を占め、残り5%、3000億円の市場に、3万社あまりの中小企業が激しい競争をしているといわれています。電子媒体の普及で民間需要も縮小し、官公需における競争はますます激しくなっています。
その過酷な競争のしわ寄せが労働者にきています。3月2日付けのしんぶん赤旗には、安値を競う印刷通販業界の最大手「プリントパック」の記事が掲載されています。この会社は、年間140億円をこえる業績をあげているものの、過酷な労働条件で知られています。そこに労働組合が結成されたという記事なのですが、この労働組合は印刷業界の労働者でつくる全印総連という組合で、以前から労働者の生活を守るだけでなく、印刷業界の発展に対しても政策提言をおこなってきました。そのなかで、地方自治体などの発注する官公需での激しすぎる競争の問題点を指摘しています。
また、印刷工業組合など、業界団体からも官公需に対する政策提言がでているようです。
このようななかで、和歌山県の発注する印刷物はどうなっているでしょうか。県の印刷物の入札でも、10年ほど前と比べると3分の1以下に下落しているものもあり、最近でも、信じられないような値段で落札されている印刷物がたくさんあります。業者の間でのダンピング競争が起こっています。
例えば、「県税のあらまし」というこの小冊子は、平成15年度版ではいまと同じ1,500部の発行部数ですが、56万7千円の値段でした。ところが、同じものが10年たった平成24年度版では、なんと11万5千円で落札されています。印刷に詳しい方に見てもらいますと、どうみてもかつての50万円程度が妥当な値段だろうというお話でした。このような事例が調べただけでも多数あります。
そこで、物品調達の責任をになっておられる会計管理者にうかがいます。
(1)低価格落札の現状
印刷物の低価格での落札の現状を、どのように考えておられるのか。昨年12月議会では中小企業振興条例が成立しましたが、県が発注する契約でこうした値引き合戦のような現状で、果たして中小企業の経営がなりたっていくとお考えなのか、答弁をお願いします。
《答弁》 会計管理者
本県の印刷物の調達は、10万円以下の少額なものが多い状況でございます。
また、その印刷物の入札については、従前から県内・振興局管内の登録業者の方々を特に入札参加の機会において、優先して実施しております。登録業者の方々についても、適切な価格で見積りいただいているものと認識してございます。
《意見》高田由一 県議
あまり詳しく状況を把握されていないようなので、もう少しいくつか例をあげたいと思います。
「県土整備の概要」ですが、平成21年版が1,300部、121万円で落札されましたが、22年版は同部数でなんと半額以下の52万円です。
「統計年鑑」は、平成15年版は発行部数が750部で54万円、一冊あたりの単価は730円弱だったものが、平成22年版は400部で15万円弱、一冊あたり362円と半額になっています。ここまで単価で減っていますが、この冊子は歴史と伝統によるかどうかわかりませんが、ずっと2,100円で売られています。ずいぶん県がもうけるようになっています。
「環境白書」です。こちらは平成23年版では700冊で114万円弱、これが24年版ではほぼ同部数で62万円と6割の値段になっています。この冊子は原価で売られていますから、情報公開コーナーへ行きますと、ほとんど何も変わらない本が片一方は1,600円、新しいほうが950円と並んで売られています。県民の方がみると、ほとんど同じ本なのに、どうみてもおかしいと思うでしょう。
このように、印刷物の適正な価格とは、あってないようなものになっています。
こういう状況にあるということを、県当局のみなさんにも認識していただきたいと思います。
では、次の質問にうつります。
(2)入札制度改善の提案
《質問》高田由一 県議
「印刷の契約」については「物品の売買」か「請負」か、明確な規定がなく両方の性質を兼ね備えていると考えられ、官公需の契約、特に地方自治体で様々な取り扱いがされています。
このような中、2002年3月の地方自治法施行令の改正で、167条の10で定められていた最低制限価格を設定できるとする根拠である「工事又は製造の請負契約」という文言を、「工事又は製造その他についての請負の契約」としました。この、「その他の請負」という範疇に印刷の契約を含める地方自治体が出始め、これにより「最低制限価格制度」や「低入札価格調査制度」の採用が可能となり、全国に広がってきています。また、北海道のように「物品の売買」契約のままで「最低制限価格制度」を採用した事例もあります。
おとなりの三重県の例を紹介しましょう。三重県では印刷物は、一般競争入札か、オープンカウンタという公開の見積もり合わせによる随意契約の二つの方法で入札されています。どちらのやり方でも、100万円以上の予定価格の案件については最低制限価格を設定しています。予定価格の7割をきる入札だと、失格になるそうです。
また、全国的に見ても昨年の状況ですが、さきほども述べた全印総連という労働組合の調査では、全国で18の道、県で最低制限価格制度を導入しています。
和歌山県でも、印刷物の随意契約の限度額は250万円になっています。これは、印刷が単に物品の納入ということではなく請負に該当するから、一般の物品の限度額160万円ではなく、この250万円という額を当てはめていると思うのです。それならばいっそ、印刷物は物品扱いではなく請負に位置づけ、そのうえで最低制限価格を設定するべきではと私は思います。そこでうかがいます。
印刷物を請負契約に位置付けること、および最低制限価格の導入を和歌山県でも検討してはどうでしょうか。答弁をお願いします。
《答弁》 会計管理者
印刷物については、物品調達制度の中で処理していますが、既に製造その他の請負に位置づけて入札を実施しております。
現在の印刷物においては、その予定価格についての統一された積算基準がなく、過去の契約実績等から標準的な市場価格を積算している状況であるため、最低制限価格の設定を行っておりません。
(3)簡易公開入札制度の改善
《質問》高田由一 県議
つぎに、具体的に入札方法の問題についてうかがいます。
印刷物については、県の入札の要領によると、250万円以下の入札については簡易公開入札といって、パソコンを利用した公開の見積もり合わせによる随意契約が行われています。250万円以上は一般競争入札になっています。そこでうかがいます。
・簡易公開入札の件数
決算のでている平成24年度の印刷物の入札件数のうち、事務集中課が扱った一般競争入札、それから簡易公開入札の件数は、それぞれ何件になっているでしょうか。答弁をお願いします。
《答弁》 会計管理者
平成24年度の印刷物の入札件数については、本庁及び海草振興局管内で、一般競争入札が4件、簡易公開入札が794件となってございます。
・落札の状況
《質問》高田由一 県議
私は、いま答弁のあった794件の簡易公開入札の結果を調べてみました。簡易公開入札というやり方はパソコンを使っての電子入札で、入札者の負担を減らし、多くの中小業者に県の仕事を受ける機会を増やすのが目的なのではないかと考えています。
ところが、結果が公開されている平成24年度の印刷物の簡易公開調達を見てみると、525件ある入札で、1社だけでその4割以上、2番手の業者もあわせると6割近くが落札されています。印刷業者の登録は100社以上あるのに、たった2社でその6割近くが落札をされています。これは、簡易公開調達を導入した趣旨からはずれ、一部の価格競争力のある業者だけが落札しているということではないでしょうか。
《答弁》 会計管理者
簡易公開入札制度は、公共調達改革の一環で、競争性・公平性・透明性を確保した上で、物品の円滑かつ適正な調達が可能となる制度として導入したものでございます。競争入札参加有資格者名簿に登録されている業者を対象に幅広く参加を呼びかけた上、公募型見積合わせ方式による見積り合わせを行っており、地方自治法上は随意契約となりますが、実質的な競争入札だと考えてございます。
簡易公開入札制度の実施にあたり、広く入札参加を呼びかけておりますが、入札参加者が少ない案件も相当あります。その中で、積極的に参加される業者の方々が自ら積算した適正な価格で見積書を提出し、落札されているものと認識しております。結果的に、一部の業者に落札が集中する場合もありますが、公正な競争性が確保されていることから、問題があるとは考えておりません。
《意見》高田由一 県議
適正だという答弁ですが、適正だとしても異常な事態になっているということを認識していただきたい。
では、次の質問です。
・指名型の随意契約
《質問》高田由一 県議
私は、一般競争入札も簡易公開入札も、すべての入札結果がホームページで公開されていると思って調べていたのですが、いろいろ調べてみると、印刷物の入札に限ってですが、入札結果が公開されていないものがあることがわかりました。
簡易公開調達のなかでも比較的予定価格の高い入札でやられているやり方ですが、県のほうであらかじめ業者を指名して見積もりを出させて、そのなかから随意契約の相手を決定するというやり方です。見積依頼というそうですが、いわば指名型の随意契約というようなやり方です。
私は、この間の県の入札制度改革のなかで、基本的に指名入札というのはなくなったという認識をしていました。この「建設工事にかかる新公共調達制度の手引」のなかでも、制度改革のなかで、物品でも平成19年から基本は一般競争入札になっていると書いています。なのに現実は、簡易公開入札という随意契約のなかの、かなりの部分が見積依頼という指名型の運用になっているようです。そこでうかがいます。
なぜ、印刷物に限って、このような指名型の随意契約が残っているのでしょうか。また、どのような根拠にもとづいて実施されているのでしょうか。答弁をお願いします。あわせて、このような仕組みは廃止の方向で見直すべきではと考えるのですが、いかがでしょうか。また、今はホームページで公開されていない入札結果の情報を、すぐにでも開示するべきではないでしょうか。答弁をお願いします。
《答弁》 会計管理者
印刷物の入札にあたりましては、地図や音声付きパンフレットなど専門技術や特殊な設備、優良品の納入実績を必要とするもの、選挙用印刷物など印刷内容について注意を要するものや迅速な対応が必要になるものなどについては、適切に対応できる登録業者の方々に入札参加して頂く必要がございます。
そのため、あらかじめ物品の競争入札参加資格申請書類等により専門技術や特殊な設備などを持つ業者を把握し、個々の案件ごとに、必要な技術能力を持つ登録業者の方々に呼びかけまして、見積書提出の形式で簡易公開入札への参加を頂いているものであり、指名型の随意契約というものではございません。また、現状では、落札結果を閲覧できる状況となっておりませんので、その点については、検討してまいります。
《意見》高田由一 県議
答弁がありましたが、いまは公共工事でも指名入札は廃止されているのですから、理由になりません。
私が思うに、見積依頼という指名型の随意契約も当初は、ある程度業者を絞り込むことによって印刷物の品質を確保し、ダンピングのない適正な価格での落札ということを意図していたのではないかと、私は思うのです。しかしすでに、現実はそうなっていないのです。最初に紹介した「県税のあらまし」、「県土整備の概要」、「統計年鑑」、「環境白書」、それから「商工観光労働行政の概要」、「和歌山県の農林水産業」などなど、すべての部局の印刷物が、この指名型の随意契約で契約されているのですが、こうした冊子は印刷業ならどこでもできるものではないでしょうか。専門技術をようするから随契でもいいというのはあたらないと思います。
当初、意図したねらいからはずれ、また、入札制度改革のなかでももうやめようとなっている指名型の随意契約は見直すべきではないでしょうか。
・少額の契約について
《質問》高田由一 県議
つぎの質問です。さきほど、一部の競争力のある業者がほとんどの落札をしていると紹介した、登録業者ならだれでも参加できる方の簡易公開入札ですが、ほとんどが10万円以下の発注です。このような10万円以下のものについては、近隣の登録業者から順番に購入するようなやり方でもいいのではないかと思います。これも、三重県では5万円以下はそのような方法をとっているようなので、やれないことはないと思うのですが、どうでしょうか。答弁をお願いします。
《答弁》 会計管理者
先ほども申し上げましたとおり、本県の印刷物の調達は10万円以下の少額なものが多い状況でございますが、それを順番制で発注するということについては、入札参加の機会の均等や競争性・公平性・透明性を確保する観点からは、適切でないと考えております。
したがって、現在行っているように県内・振興局管内の登録業者の方々を優先する簡易公開入札で行うことが適切であると考えております。
(4)入札制度改革への考え
《質問》高田由一 県議
この問題の最後に、印刷物の入札制度改革について、お考えを知事にうかがいたいと思いますがいかがでしょうか。
《答弁》 仁坂知事
県の公共調達におきましては、県内企業優先のもと、競争性・公平性・透明性を確保するため、条件付き一般競争入札や簡易公開入札を導入しております。
印刷物についても、地元企業優先に配慮した制度にしながら、その内容に応じた専門技術や設備、実績等を考慮した入札を実施しておりますし、これからもまいりたいと思います。
なお、議員ご発言の中で、指名型とかですね、指名競争入札というのがですね、答弁はしていますけれども、実は、違うんです。けれども、その違いをきっちり認識されないで、あるいは混同して、または、させて議論しておられると思いますが、それは違いますので、どうぞご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
《要望》高田由一 県議
公共調達の改革を徹底するなら、指名型の随意契約はやめるべきです。三重では、県が指名する随意契約というのはすでになくなっています。和歌山県でも最低制限価格も設定して、印刷業界で働く労働者と中小業者の経営を守る県政にされるよう要望して、この質問を終わります。
3.南方熊楠記念館について
《質問》高田由一 県議
白浜町の円月島のある臨海という地域にある、公益財団法人「南方熊楠記念館」が来年で開館50周年を迎えます。この県議会議場でもバリアフリー化などの問題で取り上げてこられた記念館も、老朽化が激しく、このたび県の新年度予算で再整備へむけての予算を盛り込んでいただきました。地元にいるものとして歓迎する次第です。
この記念館は、昭和40年の開館当初は、同じ敷地内に「番所山植物園」というレジャー施設もあり、来館者数は、すぐに年間6万人を突破しました。しかし、その後、植物園の経営が傾き、昭和50年に入口が完全に閉鎖されました。以来、昭和57年3月の記念館再開まで、来館者数はほとんどない状態でした。ただ、再開されてからは関係者の努力もありましたが、年間1万人前後の来館者が続きました。
これが転機を迎えたのが平成2年です。記念館開館25周年記念特別展が開催され、期間の入場者は1万1千人をこえました。田辺市でも南方熊楠賞制定などがあり、年末にはテレビで取り上げられ、平成3年には東京と大阪で「超人南方熊楠展」が開催され、ともに3万人以上の来客となったそうです。その影響もあり、平成3年4万8千人、平成4年6万人突破と続き、その後、減っていったものの、平成11年までは年間3万人をこえる来館者でした。その後、2万人台がずっと続いています。現在の来館者数は2万人とはいえ、この種の施設としては、紀伊風土記の丘が約2万人、県立博物館が3万人前後ですから、来館者は多いほうではないかと思います。
地元に住むものにとって、かつて閉鎖された番所山植物園というのは、いまのアドベンチャーワールドのようなレジャー施設だったと思います。クジャク、ニシキヘビ、オウム、アシカへのえさやり、動く歩道などなど。私も楽しい思い出が残っています。しかし、その番所山植物園が閉鎖されてからは、地元の人もあまり行かない知らないスポットになっていて、熊楠記念館も地元の人はあまりいっていないのが実情です。
しかし今度、白浜町のほうで番所山公園が整備され、4月にオープンする予定です。風景はいいし、また、記念館からの眺望は抜群によいものがあります。歴史もあります。近くには、かつて紀州藩の屋敷があって、幼いころあの暴れん坊将軍吉宗もちょくちょく来て鍛錬していたそうで、テレビのあの海岸を馬で走るシーンは臨海の浜を走っているイメージなのだそうです。これは館長さんの受け売りですが。また、円月島などジオの見どころでもある。京大の水族館とあわて自然を学べる場でもあります。先日は台風で荒れる中、わざわざオーストラリアから記念館を見るためにやってきたという老夫婦がおられたそうであります。今後、私も地元民の一人として、大いに宣伝をしていきたいと思います。
そこで知事に、記念館の再整備の概要、ねらいについて答弁を願いたいと思います。また、3年後の開館へむけて、いまのうちから熊楠のテレビドラマ化など、マスコミへのアピールも考えていってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
《答弁》 仁坂知事
ご指摘のように、番所山っていうところは素晴らしいところで、実は最近、ちょっと整備が遅れていたというか、荒れていたということ、私が知事になりましてから、白浜に参りまして、地元の人と話をしていて、なるほどというふうに思いまして、それで復活をすべくいろいろと努力をして県のお金も投入しているのですが、そういうようなことをやりました結果、今年それができまして、これは正に高田議員ご指摘のように、いろいろな要素を併せて白浜の武器がもう一つできるということになろうかというふうに期待しているところでございます。
その中の大変重要な要素である、南方熊楠記念館なんですが、昭和40年に建築されまして、築後50年近くが経過しているわけです。耐震性能も心配でございますし、バリアフリーでもありません。老朽化も進んでおります。そこで、新館建設構想を公益財団法人南方熊楠記念館とともに進めているところでございます。
新館のコンセプトとしては、周囲の景観に配慮したデザインとしたいと考えております。また機能面では、バリアフリー化や貴重な遺品、遺稿、標本などの資料の保存機能を高めるとともに、特に展示スペースの拡大や展示方法に工夫を凝らすなど展示機能の強化に力を入れたいと考えております。そういう意味でスペースは少し広い方がよろしいございますので、現在の建物も利用していこうというふうに考えております。
また、自然公園内という立地を活かしまして、新館を白浜町が整備を進めてくれております番所山公園の中核的施設として位置づけまして、本県が生んだ世界的な博物学者であります「南方熊楠」さんのすばらしい功績を紹介し、次世代にその魂を伝える社会見学の場、あるいは環境学習の場として、積極的に活用していきたいと考えております。
建設にあたりましては、単に県費をボンと出すというだけではなくて、やっぱり全国にアピールしたい、新たな熊楠ファンにも呼びかけたいというふうに思っておりますので、全国に幅広く寄附を働きかけまして、多くの皆様に、ご支援・ご協力をお願いしたいと考えております。
今回の新館建設構想の推進を機に、地元白浜町や田辺市にある南方熊楠顕彰館との連携強化を図りまして、熊楠さんの魅力を全国に強く発信していきたいと考えております。
《要望》高田由一 県議
さいごに要望ですが、記念館が新しくなっても交通アクセスがわかりにくい実情があります。これを改善することや、田辺市にある南方熊楠顕彰館との連携や周遊観光コースの設定、京都大学臨海実験所との連携、さらに、地元住民や小中学校へのアピールなど、町と県、財団が一体となって進めなければならない課題もあります。これらへの対応も要望いたしまして、質問をおわります。